「インフレで現金の価値が下がる」という話をよく聞きます。
でも、銀行の残高は減っていないのに、なぜ「価値が下がる」のでしょうか。
この記事では、「名目」と「実質」という2つの見方を使って、その仕組みを説明します。
お金の価値は「金額」ではなく「買える量」で決まります。物価の上がり方が預金の金利より大きいと、残高が増えていても、実質的には目減りしていきます。
この記事で分かること
- インフレとは何か
- 「名目」と「実質」の違い
- 預金の金利と物価の関係
インフレとは「お金で買える量が減ること」
インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの値段が全体的に上がり続けることです。
値段が上がるということは、裏返すと、同じお金で買える量が減るということです。
たとえば、1個100円だったパンが110円になれば、1,000円で買えるパンは10個から9個に減ります。
お金の「金額」は同じでも、お金の「力」が弱くなっています。
お金の価値は、お財布の中の数字じゃなくて、それで何が買えるかで決まるんだ。
「名目」と「実質」で考える
名目と実質の違い
- 名目
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お金の額面そのもの。通帳に書かれている金額
- 実質
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物価の変化を差し引いた、本当の価値。どれだけのモノが買えるか
- 実質金利
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預金の金利から物価の上がり方を差し引いたもの(おおよその考え方)
預金の金利と物価の関係
預金には金利が付くので、名目の金額は少しずつ増えます。
しかし、物価の上がり方が金利より大きいと、実質の価値は減っていきます。
次の表は、仮の数字で比べたものです。
| ケース | 預金の金利(仮) | 物価の上昇率(仮) | 実質のおおよその変化 |
|---|---|---|---|
| A | 年0.2% | 年2% | 年−1.8%(目減り) |
| B | 年0.2% | 年0% | 年+0.2%(わずかに増える) |
| C | 年2% | 年2% | 年0%(変わらない) |
※金利や物価の数字は説明のための仮のものです。実際の金利は金融機関や時期によって異なります。
残高が増えていても、物価の上がり方に追いついていなければ、実質的には減っています。
「実質金利=金利−物価上昇率」は近似です
正確には「(1+金利)÷(1+物価上昇率)−1」で計算します。金利や物価上昇率が小さいときは、引き算でもほぼ同じ値になるため、ここでは引き算で説明しています。
日本でも物価の上昇が前提になっている
日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」としています。(出典:日本銀行「2%の『物価安定の目標』」)
つまり、物価がゆるやかに上がっていくことを前提にした政策がとられています。
もちろん、実際の物価が毎年2%ずつ上がるとは限りません。ただ、物価が上がる可能性を考えずに、お金の置き場所を決めるのは危ういと言えます。
よくある誤解
誤解「インフレになると貯金が減る」
インフレになっても、通帳の金額は減りません。減るのは「買える量」です。
金額が減らないので気づきにくいのが、インフレの怖いところです。
誤解「インフレなら投資すれば必ず得をする」
物価が上がる時期に、株や投資信託の値段が上がりやすい面はあります。しかし、必ず物価以上に増えるわけではありません。
インフレ対策として投資を考える場合も、値下がりのリスクはなくなりません。
投資にはリスクがあり、元本は保証されません。物価や金利の動きは予測できないため、1つの考え方に偏らないことが大切です。
だからどうするか
- お金の価値を「金額」ではなく「買える量」で考える習慣をつける
- 預金の金利と物価の上がり方を、ときどき見比べる
- 長く使わないお金の置き場所は、物価の上昇も考えて決める
まとめ
- インフレとは、同じお金で買える量が減ること
- お金の価値は「名目(金額)」ではなく「実質(買える量)」で考える
- 物価の上がり方が金利より大きいと、残高が増えていても実質的には目減りする
- インフレ対策の投資にも、値下がりのリスクがある
参考
※本記事は2026年10月時点の情報です。
投資にはリスクがあり、元本は保証されません。投資信託でも短期的には値下がりすることがあります。当サイトの情報は、特定の金融商品の購入をすすめるものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いします。


